【リーデル】-ブドウ品種ごとワインに合うグラスとは

【リーデル】-ブドウ品種ごとワインに合うグラスとは

260年以上の歴史を誇るオーストリア発祥ワイングラスの老舗、リーデル。
ブドウの品種ごとに理想的なワイングラスを世界で初めて開発し、ワインを五感で楽しめる商品は世界中から愛され根強くファンから支持され続けています。

そんなリーデルにはアンバサダーが存在し、日本のワイン愛好家にワインの楽しさを広めるべく、グラス・テイスティングやワークショプなどを開催されていらっしゃいます。本日はブランドアンバサダーの庄司さんにお話をお伺いしました。

  1. ファンクションを伝えるアンバサダーの存在
  2. トライアンドエラーを繰り返す商品開発
  3. 目を引くデカンタ、純米酒専用グラスの発売
  4. とっておきの晩酌とは

ファンクションを伝えるアンバサダーの存在

−早速ですがリーデルのアンバサダーとはどのようなことを行っているのでしょうか。

言葉や文字、イメージ写真ではなかなか伝えにくい、目に見えないワイングラスのファンクションを伝えることが役目になっています。具体的に言うと、「実際ワイングラスってどうなの」っていうのを体感していただくためにグラス・テイスティングを全国で行っています。テイスティングの体感を広める活動を僕たちがコツコツとやってきました。

「このブドウ品種にはこの形状のグラスだよね」っていうこともそうですし、反対に「このブドウ品種にはこの形のグラスで飲むとダメでしょう」と実際に体験していただくんです。「ブドウの品種とワイングラスが合うとやっぱり美味しいね」と感じていただくのが、 グラス・エデュケイターというポジションで長くずっとやってきたことです。

きちんと正しくワイングラスを選んで使っていただくことの大切さをお伝えできるようにしています。

ブランドアンバサダーの庄司さん

−グラス・テイスティングはどのような場所で開催されるのですか。

全国各地、地場のレストランからホテル、ワインスクールで行っています。セミナーに参加されて、それを参加された方が、さらに自分のお客さんにも、同じ感動を体験してほしい、みたいな感じで広まっていますね。

ワインスクールでは公式のカリキュラムとして組み込んでいただいてます。ソムリエ試験には出ないんですけど、ワインの資格を取るために学ばれている方や純粋にワインを楽しみたい方にとって、必ず知っておくべきことだと認められたんだなと感じます。

−ワインスクールのカリキュラムではどのようなことをやるんですか。

ワインスクールの場合、ワインの歴史や生産地などワインそのものを学ばれる中、『目の前にあるワインをいかに楽しむか』ということをテーマに授業を行っております。例えば、ワインを楽しむための適温やデカンタをする利点などです。そのような目の前のワインを楽しむための一要素として、ワイングラスの形状が重要であることを実体験していただいています。

ワインスクールでは年間に800名ほどの方とお会いしています。ワイン好きの方は本当に勉強される方が多いですね。

グラス・テイスティングの様子

トライアンドエラーを繰り返す商品開発

−リーデルの商品はどのような特徴があるのでしょうか。

リーデルは創業からガラス製品の会社でもありますが、9代目からは特にワイングラスなど飲み物に特化していて、『五感で楽しめるグラス』というのが特徴的です。香り、味、質感、グラスを持った際のバランス、見た目。全てのトータル要素をバランスよく兼ね備えているという点でいうと中々他にないグラスメーカーだと自信を持っています。それが世界130カ国で使っていただいている理由だと思います。

リーデル青山本店に並ぶグラス(一部)

−ありがとうございます。商品を作る際に心がけていることはありますか。

トライアンドエラーを重ねることですね。これまでリーデルは「チャレンジしてみる」ということをとても大切にしてきました。ちょうど今、細長いフルートグラスから、卵形のボウルをもつ白ワイングラスのようなグラスでシャンパンを楽しもうという流れがひろがってきているんですけど、このような変化を生み出したのもリーデルが最初と言われています。グラスとしては縦に長いほうが泡が綺麗に見えるのですが、泡が綺麗に見えるだけじゃなく香りも楽しめるようにと『シャンパーニュ・ワイン・グラス』を作りました。

リーデル・オーシリーズのワイングラス

当時2004年ですかね。ワイングラスの範疇でありながらステム(脚)とか台座を取るというのが画期的と話題になりました。伝統的な歴史の長いリーデルが一番先に行ったので反響は大きかったです。

商品造りの土台となっていたのが、もっと気軽に若い方を中心にワインを楽しんでほしいと言う思いでした。ワイングラスとしてはステムや台座があったほうが五感で楽しむにはベストなんですけど、ワインを楽しむために、もっとも重要なのはボウルの形状ですから、それ以外の部分については多少どこかを削っても、それ以上にワインに親しみを感じて欲しいという思いが強かったんですね。

ありがたいことにリーデルを初めて使うとか、初めて結婚式の記念品でもらったのがこのクラスだったとか、この<リーデル・オー>からリーデルのことを知ったというお客さんもかなりいらっしゃいます。リーデルを通してワインの楽しみを感じていただけるチャンスが広がった思い出深い商品ですね。ボウル形状はそれまでのワイングラスと同じですから、もちろんブドウ品種ごとに香りや味わいを楽しめるワイングラスというDNAは引き継いでいます。

歴代のリーデル家当主は、自身も相当なワイン好きなんですが、ワイン大好きな自分にとって欲しいツールは、たぶんワイン好きな皆さんにとっても有益なツール。それを考えてとにかくチャレンジしてみるということを繰り返して今の製品群があると思います。

目を引くデカンタ、純米酒専用グラスの発売

−他にはどのような商品があるのですか。

ワインと同じくらい、ワインを楽しむために重要なツールがデカンタです。日本ではなかなか見る機会がないと思いますが、ヨーロッパでは特殊なデザインのデカンタでデカンタージュすることで、チップを弾んで貰えるんだそうです。お客さんが食事とお酒を楽しみながら場が盛り上がって思い出深いものにもなるんですね。

デカンタは特殊なデザインが施されている

−庄司さんはアンバサダーとして活躍されながら、リーデルの商品改良を感じることはありますか。

大きく二つの感じるときがあります。一つ目はワイングラスなのでワイン自体のトレンドが変わるときです。例えば温暖化で気温が上がってブドウの糖度が高くなって、ワインのアルコールも高くなったりボリューム感が増してきています。そうなるとグラスが少し大きくなる傾向があるんです。そういうワインのトレンドが変わるとそこをカバーできるグラスってどういうものなのだろうと考えます。

二つ目はカバーできていない領域のドリンクだとどのようなグラスが理想なのかですね。リーデルでいうとワイン、スピリッツ、日本酒、コカ・コーラ専用グラス、エスプレッソ専用のグラスなどの商品があるのですが、日本文化でいう緑茶や焼酎のグラスはまだ開発されていません。そういうまだ市場に出ていないフィールドがたくさんあることにワクワクしながら商品作りを考えますね。

純米酒用のグラスを作った時は、こうした方がいいよっていう感じではなくて、純米酒を造っている蔵元さんにいろんな形状のグラスを持って行って飲んでいただきました。形の違うグラスで飲んでもらい、いいものを絞ってという作業を繰り返して、最後に残ったグラスが純米酒を飲んでいただくのに納得していただけるような形になったのです。リーデルがグラス開発で行うワークショップは、いつも生産者とともに、トライアンドエラーという形で行われているんです。

純米酒用のグラス

とっておきの晩酌とは

−庄司さんが個人的な理想の晩酌を教えてください。

嗜好品なので、僕にとってはその日布団に入ってすっと眠れたかどうかが、今日は良い晩酌がだったかの基準になりますね。

ワイングラスメーカーですので「晩酌用のグラス」についてお話ししてもいいですか?
ワインに限定した場合にワイングラスで最も万能なグラスがあるんです。理想を言うとそれぞれのワインに合ったグラスで飲むのがベストなんですけど、このシラーグラスであれば、シラー種から造られたワインを飲めば、もちろん100点ですし、他の品種の枠でも70点は取れるというとても汎用性の高いグラスです。晩酌にまず一脚ということでしたら、そのグラスが白ワインでも赤ワインでも気軽に使ってもらえるという意味でお勧めできるグラスかなと思います。

シラーグラス

Director’s Voice

取材中には記事に書ききれなかった、ワインのトレンド変遷、ワイン産地の特徴など庄司さんがこれまでシニア グラス・エデュケイターとして培われてきた経験や知識を知ることができました。晩酌好きな一個人として目から鱗の学びがあります。ぜひグラス・テイスティングに参加されてみてはいかがでしょうか。

Junki Tada

取材に協力いただいた
ブランドアンバサダーの庄司さん(左)
マーケティングリーダー富樫さん(右)

リーデルについて

店舗名リーデル青山本店
住所〒107-0062
東京都港区南青山1-1-1 青山ツインタワー東館1F
TEL03-3404-4456
営業時間11時~20時(平日)
10時~18時(土・祝)
日曜定休日
職人インタビュー 2020.03.11
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