知ってる? 「ビール」「発泡酒」「第3のビール」の違い

知ってる? 「ビール」「発泡酒」「第3のビール」の違い

今回の登場人物

酔生夢死子(よみ:すいせいむしこ)
ライター・デザイナー時々ミュージシャン。10年会社員を務めた後、フリーランスに転向。現在は気の向くまま、思うまま、酔いと共に日々を過ごす。「できないことはできない。しない。」がモットー。

スーパーやコンビニで売られている様々な種類のビール系飲料。これらは大きく「ビール」「発泡酒」「第3のビール」の3種類に分けることができます。しかし、この3種類、いったい何が違うのか皆さんはご存知でしょうか。

「ビールは高い」「発泡酒や第3のビールは安いが美味しくない」なんてイメージ持っていませんか。はたして、本当にそうなのでしょうか。味の違いはなぜ?価格の違いはなぜ?

ここでは、「ビール」「発泡酒」「第3のビール」、一体何が違うのかを解説していきます。

  1. 何が違う?原料が違う!
  2. 酒税で変わる価格
  3. 安い=マズい。わけではない。
  4. 2026年はビール戦国時代となるのか!?
  5. まとめ

何が違う?原料が違う!

3つの違いで、第一に挙げられるのは「使用している原料が違う」ということ。鍵となるのは、麦芽の使用量と麦芽以外の副原料。麦芽をどれくらい使っているかと、副原料に何を使っているかの違いが「ビール」「発泡酒」「第3のビール」の違いとなるのです。では、日本におけるそれぞれの定義を見てみましょう。

◆ビールの定義

ビールは麦芽の使用量が50%以上であること。また副原料の使用割合も、重量比で麦芽の5%まで。「ビール」には細かい制限が設けられています。麦芽比率50%以上で、副原料は使用できるものが限られている上、使用できる量までも制限されています。

使用できる副原料

(1)麦、米、とうもろこし、こうりゃん、ばれいしょ、デンプン、糖類、または苦味料もしくは着色料

(2)果実・果汁や香味料(2018年からの新定義で追加)

  • 果実
  • コリアンダー・コリアンダーシード
  • 香辛料(胡椒、山椒、シナモンなど)
  • ハーブ(カモミール、バジル、レモングラスなど)
  • 野菜(かんしょ、かぼちゃなど)
  • そば、ごま
  • 含糖質物(はちみつ、黒蜜など)、食塩、みそ
  • 茶、コーヒー、ココア(これらの調整品を含む)
  • 牡蠣、こんぶ、わかめ、かつお節

◆発泡酒の定義

発泡酒は麦芽の比率が50%未満であること、もしくは副原料の使用割合が5%を超えるもの。「ビール」に対し、「発泡酒」は特に細かな指定はありません。麦芽を使用していれば、副原料はどんなものでも、どれだけでも使用できます。

◆第3のビールの定義

第3のビールは発泡酒に麦由来のスピリッツを加えたものか、麦や麦芽以外のものを原料にしているもの。麦芽を主な原料としていないどころか0%のものも含まれます。つまりビールテイスト飲料、味がビールっぽいカクテルといったところでしょうか。

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では、どうしてこのような定義付けが必要なのでしょうか。それには「酒税」が大きく関わってきます。では、次に酒税について解説していきましょう。

酒税で変わる価格

日本では、全てのお酒に「酒税」と呼ばれる税金が課せられます。酒税法により税率は細かく設定されており、一般的に、アルコールの高いものほど高くなっています。では、ビール、発泡酒、第3のビールの酒税はどうなっているか見てみましょう。

★ビール

77円(350mlあたり)

★発泡酒

25%≦麦芽比率≦50%……約62円(350mlあたり)

麦芽比率<25%…………約47円(350mlあたり)

★第3のビール

28円(350mlあたり、その他醸造酒、リキュールどちらも同一額)

このように、ビールの税率が最も高くなっています。一番安い第3のビールと比較するとその差は約50円。ビールの小売価格は220円前後(350ml缶)ですので、約40%が税額ということになります。

高いですね~。そこで、大手メーカーは「酒税さえ抑えればもっと安く売れる!」と法の抜け道を探し商品開発を重ねました。こうした背景が「発泡酒」や「第3のビール」というカテゴリーを生み出しました。

安い=マズい。わけではない。

このように、「ビール」「発泡酒」「第3のビール」の価格差は、そのほとんどが酒税の違いによるものです。決して「発泡酒」や「第3のビール」の原料が安いとか、製造方法がおろそかなどというものではありません。あくまでも、「日本の酒税法の定義」であり、海外のビールが日本では「発泡酒」と表記されることもあります。しかもその根拠は曖昧で、1953年に制定されて以来、何度も改正されてきました。

2018年4月にもビールの定義が大きく改正されました。(今回紹介しものはその改正後のもの)この改正により、中身が同じでも表記が「発泡酒」から「ビール」に変わったものも少なくありません。

ちょっと前までは「発泡酒」でも今は「ビール」。つまり、表記や価格だけで美味しい・マズいは判断できないってことです!

2026年はビール戦国時代となるのか!?

酒税法は今後も改正が続くことが予定されています。これは2020年、2023年、2026年の3段階に分けて「ビール」「発泡酒」「第3のビール」の税率を最終的に同じにしよう!というものです。

◆2020年10月1日より

  • ビール…………………………………約70円(-7円)
  • 発泡酒(25%≦麦芽比率≦50%)…約59円(-3円)
  • 発泡酒(麦芽比率<25%)…………約47円(+-0円)
  • 第3のビール……………………………約39円(+11円)

◆2023年10月1日より

  • ビール…………………………………約64円(-13円)
  • 発泡酒(25%≦麦芽比率≦50%)…約55円(-7円)
  • 発泡酒(麦芽比率<25%)…………約47円(+-0円)
  • 第3のビール……………………………約47円(+19円)

◆2026年10月1日より

  • ビール…………………………………約55円(-18円)

この改正により、安さを売りとしていた発泡酒や第3のビールの需要が落ち込むと考えられます。一方、ビールは今よりも20円以上税額が引き下げられるため、より手が伸びやすくなります。2026年、まさにビール戦国時代の幕開けとなるかもしれません!

まとめ

「ビール」「発泡酒」「第3のビール」の違い、いかがでしたか?

原料による味の違い、酒税法による価格の違い、それが解ればあとは純粋に味わいを楽しむだけ。麦芽の苦味やコクを楽しむ「ビール」。ビールには出せない香りや味を楽しむ「発泡酒」。苦味が苦手な人でも飲みやすい「第3のビール」。

それぞれ人気のあるものから通好みまで、その種類は多様です。ビールのように、発泡酒や第3のビールのお気に入りも探してみてはいかがでしょうか。

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コラム 2020.06.22
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