「罪悪感を感じず、いつでもどこでも気軽にクラフトビールを楽しみたい」
「地ビールは“ローカルロマンティシズム“」
クラフトビールファンのみなさん、突然ですが問題です。日本で第1号となったクラフトビールメーカーをご存知でしょうか。その答えは今回取材を受けていただいた、新潟県の”エチゴビール”さんです。
エチゴビールさんは1994年の酒税改正法をきっかけに創業し、これまでの日本におけるクラフトビール業界を牽引し続け、国内最大級のクラフトビールメーカーとなりました。本日はエチゴビールさんの歴史やこだわりのビールなどについてマーケティング室長 別所さんにお話を伺っていきます。
今回の登場人物
BANSHAKU編集部多田(以下、BANSHAKU多田)
好きなお酒はビール(セゾンスタイル)。ビアテイスターの資格を持っている。最近、自宅居酒屋化計画を実行中。詳細は謎に包まれている。
エチゴビール 別所さん
大手ビールメーカーに26年勤務。2年前よりエチゴビールのマーケティング責任者に就任。やや複雑な経歴はSNSアカウントで確認を。
日本第1号のクラフトビールメーカー!エチゴビールの始まりとは
本日はよろしくお願いいたします!まずはエチゴビールさんの成り立ちからこれまでの歩みを教えてください。
弊社は新潟県にある1890年創業の造り酒屋である上原酒造(現・越後鶴亀)の5代目蔵元である上原誠一郎氏が1994年にビール製造免許を取得して翌年から営業を開始した、日本で第1号のクラフトビールメーカーになります。
上原誠一郎氏は芸術に興味があり演劇を学ぶためにヨーロッパに渡りイタリアのローマを拠点に演出家や俳優として活動をしていました。
そのときに絵本作家をしているドイツ人女性と知り合い彼女の故郷へ旅行に行くようになり、ドイツのビールの文化を体験しました。その後、家業を継ぐために日本へ戻ることになり、1994年の酒税改正法による地ビール解禁のチャンスを迎えたのです。
上原酒造のビール部門として“エチゴビール“というブランドでビール醸造に着手し、ブルワリーを併設したレストランの営業を日本で最初に開始したのがエチゴビールのはじまりです。
創業者である上原誠一郎氏の物語をモチーフにしたビールづくり
上原誠一郎さんがヨーロッパでドイツビールに触れたのがきっかけだったのですね。それでは、エチゴビールさんではドイツのスタイルのビールを造られているのですか。
創業者がビールに興味を持ったきっかけはドイツのビール文化ということですが、ドイツ由来のビアスタイルに限らず、創業当初から様々なスタイルのビールを醸造しています。
上原誠一郎氏は芸術家ということもあってクリエイティブでアイデアが豊富だったようです。たとえばアメリカから日本まで太平洋を横断するヨットの船底で発酵、熟成させた”オーシャン・エール”というビールにも挑戦しました。
船底で発酵や熟成をさせたビールとは驚きました。上原誠一郎さんはビール造りにどのような想いを馳せていたのでしょうか。
上原誠一郎氏は「地ビールは“ローカルロマンティシズム”だ。」という言葉を使っていました。地元に対する愛情やビールに対するこだわりを、ストーリー性を持って表現することが大切だということです。大手ビールメーカーとの違いを出すために、そういうロマンを感じさせることが重要であるという想いを持っていたのです。
大手ビールメーカーさんとの違いというと、どのような違いになりますか。
今では大手ビールメーカーもクラフトビールというカテゴリーに参入し、様々なビアスタイルの商品を販売していますが、1994年頃は大手ビールメーカーのビールはピルスナー系がほとんどで、日本人にとってビールと言えばピルスナーだったと言って過言ではありませんでした。
そのような日本のビール市場に対して、弊社は、個性的でストーリー性を大事にしたビールを提案するように心がけてきました。
ありがとうございます。現在、エチゴビールさんでは何種類のビールを造られているのですか。
現在はエチゴビールブランドとして主力の缶ビールは7種類、期間限定ビールを年間で2種類造っています。クラフトビールのブルワリーとしては、日本で最大級の生産能力を持っています。約30名ほどが皆様においしいビールをお届けするように日々楽しく働いています。
おすすめのビール&フードペアリングのご紹介
とても大きい工場で驚きました。お客様から人気のビールを教えてほしいです。
今弊社で人気があるビールは、”のんびりふんわり白ビール”というヴァイツェンビールです。ネーミングの通り「リラックスしてのんびりと召し上がっていただく」ことをコンセプトとして、白熊がハンモックで寝ている可愛らしいパッケージが特徴です。
酵母由来のフルーティーで爽やかな香りや、やわらかい口あたりと喉越しがあり、普段ビールを召し上がらない方も含め女性の方でも飲みやすいビールに仕上がっています。
白熊が可愛らしいデザインですね。
もう1つは、夏限定でただいま販売中の”RISE UP IPA (ライズアップ アイピーエー)”というビールです。こちらは虎が描かれているパッケージが特徴的で、新型コロナウイルスの影響で、ストレスのかかる毎日を過ごされている方が多いと思いますが、皆様の元気につながればと思いエネルギッシュな虎をデザインした当商品を発売しました。
実は過去に2回、限定販売していますが、根強いファンの皆様の声にお応えしたアンコール発売なんです。
衝撃的な苦みと深いコク、白桃を思わせる甘みとのバランスがとれたIPAに仕上がっています。是非定番の“FLYING IPA(フライング アイピーエー)”と飲み比べてください!
虎のインパクトが目に止まり、私も以前買って飲んでみましたがとても飲みやすくておいしかったです。今ご紹介していただいたビールに合わせて、おすすめのフードペアリングがありましたら教えてください。
基本的には、想像を巡らせ様々な料理と合わせてみること自体を楽しんでいただきたいと思っております。
”のんびりふんわり白ビール”は「リラックスしてのんびりと召し上がっていただく」ことをコンセプトとしているのでお食事と合わせるというよりも、ビール単体でリラックスして飲んでいただきたいと思います。お食事に合わせるのであれば、魚介系のフリットがよく合うと思います。
”RISE UP IPA (ライズアップ アイピーエー)”は、ガッツリとしたファストフードのような料理との相性は抜群ですね。
また、ナイトキャップドリンクのように寝る前にゆっくり飲んでいただくのもおすすめです。それぞれの自由な楽しみ方で味わっていただきたいですね。
エチゴビールが掲げる使命とは
それでは最後に全国のエチゴビールファンに向けて、今後チャレンジしていきたことがありましたらお聞かせください。
これからも弊社のビールをたくさんの方に飲んでいただきたいと思っております。クラフトビールを普段飲まれない方がスーパーやコンビニなどで弊社のビールを初めて手に取って、クラフトビールに少しでも興味を持ってもらえるような商品を、これからも提案していきたいと思っています。
日本で第1号のクラフトビールメーカーとしての使命をもって、業界をもっと盛り上げるべく、取り組んでいきたいですね。
Director’s Voice
今回、別所さんのお話をお伺いし、日本で第1号となるクラフトビールメーカーの歴史や使命をみなさんにもお伝えすることができました。エチゴビールさんのビールを飲んだことがある方はこのようなストーリーがわかると、これまでよりも一層ビールが美味しくなるのではないでしょうか。まだ飲んだことがない方はお近くのスーパーなどで探してみられるのをお勧めします。それでは!
Junki Tada
エチゴビールについて
社名 | エチゴビール株式会社 |
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住所 | 新潟県新潟市西蒲区松山2 |
TEL | 0256-76-2866 |
ホームページ | https://echigobeer.com/ |
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