「お酒を通して笑顔になって、厚木市の風を感じて欲しい」(後編)
「ケルンで感じてきた雰囲気をお客さんに感じ取ってもらえるよう、ブラッシュアップしていきたい」
ファッションに流行があるように日本のクラフトビールシーンにも流行り廃りはある。現在はIPAといった苦味のパンチが効いたクラフトビールが流行しており、IPA造りが主体というブルワリー(ビールの醸造所)も多いのではないだろうか。
今回紹介するONE’s BREWERYは違う。ドイツケルン地方で生まれ、ビール造りで最も難しいと言われるケルシュスタイルをメインにビール造りをしているブルワリーだ。造り手がビール造りを始める決意をしたきっかけなどBANSHAKU編集部戸川が取材を進めていく。
今回の登場人物
BANSHAKU編集部戸川(以下、BANSHAKU戸川)
編集部随一の音楽通。趣味は音楽とお酒、AirPodsとは親友であり渋谷のタワレコに頻繁に出没する。
ONE’s BREWERY 鈴木さん
ONE’s BREWERY醸造長。新潟県スワンレイクビールで醸造を学ぶ。水族館が大好きで、全国制覇が目標。
ONE’s BREWERY誕生の経緯
まずはクラフトビール事業を始められた背景を教えていただいてもよろしいでしょうか。
親会社は大阪で70年以上バルブ事業を行っている株式会社一ノ瀬という会社でして、バルブの製造と商社を行っております。
それまで培った経験をクラフトビールの設備にも活かせるのではないかということで、クラフトビールの設備製造事業が始まりました。並行して設備のショールームとしてONE’s BREWERY 醸造所を立ち上げ、造ったビールを飲むことができる直営パブも設立しております。
鈴木さんはなぜビールの造り手になられたのですか。
10年ほど前のお話になるのですが、私が大学生の頃いろんなお酒を飲んでおりましてベルギービールにハマったのです。当時は日本でクラフトビール文化があまりなかったのですが自分で調べて地ビールも飲むようになりました。
まだその頃は醸造をしたいということは考えていなかったのですが、家族と一緒にドイツ、ベルギーへ旅行に行った際に、ドイツのケルンで飲んだケルシュというスタイルのビールの味わい、街や人の雰囲気がとても魅力的に感じまして、帰国して気がついたときには『あぁビール造りたいな』と思っていたのです。
続きが気になります。
ビールを実際に造りたいと思いながらも造り方を知っているわけではなかったので、全国のブルワリーに『僕を雇ってくれませんか』と、問い合せをしました。たまたま採用してくれたのが新潟県にある”スワンレイクビール”さんで、約3年ほどビール造りを教えてもらいながら働き、ONE’s BREWERYの立ち上げを知り入社しました。
ONE’s BREWERYで造られるビールとは
ありがとうございます。現在ONE’s BREWERYさんでは何種類のクラフトビールを造られていますか。
現在販売しているもので10種類くらいになります。
その10種類は常時直営パブで楽しめるのですか。
直営パブでは常時6種類のクラフトビールが楽しめます。定番商品として3種類あり、”KLS(けるしゅ)”、”AMB(あんばー)”、”IPK(あいぴーけー)”は今後も長く造っていこうと考えています。商品名の後には“KLS-06”のように数字が付くのですが、これは同じスタイルでもレシピや製法を変えた醸造の試行回数です。
おすすめのビールはどちらになりますか。
まずは”KLS(けるしゅ)”ですね。かなりスッキリとした味わいで、くどさがほとんどありません。ケルシュというスタイル自体、あまり特徴がないのが特徴なのですがちょっとだけフルーティーな感じもあります。白身魚のフライやフィッシュアンドチップスとの相性がいいと思いますね。
次におすすめしたいのは”AMB(あんばー)”です。このビールもとても飲みやすい商品で、通称”スチームビール”と言います。AMBは苦みもあるのでソーセージや唐揚げと合わせるのがおすすめです。
最後に限定ビールになるのですが、”KLO(おれがのけるしゅ)”というイタリアンの飲食店さんとコラボしたビールがおすすめです。これまで造ってきたビールの中でも最も変わり種ではないかと思います。
ベースとなるケルシュのクリーンな味わいにオレガノの香りとほろ苦さがしっかりしています。トマトソースを使った料理と合わせるとマルゲリータのような感じがしますね。また、イタリアン料理とのフードペアリングを考えて造ったのですが、ビール単体でも十分楽しめる商品ですね。
ONE’s BREWERYさんのビールは直営パブ以外で飲むことはできますか。
全国の飲食店さんに取り扱っていただくこともありますが、現在は新型コロナウイルスの影響で少なくなっております。確実に弊社のビールを飲むためには直営のパブにきていただければと思います。
ONE’s BREWERYの今後
今後の目標を教えてください。
僕がケルンで感じてきた雰囲気をお客さんに感じ取ってもらえるよう、ケルシュを中心にビール造りのブラッシュアップをしていきたいなと思っています。また、”おれがのけるしゅ”のようなビールのアレンジもしていきたいです。
Director’s Voice
ONE’s BREWERYでは今年中に瓶ビールの販売も計画されているそう。日本のクラフトビール界隈で現在流行しているIPAやヘイジー系のビール造りではなく、ケルシュを中心にしたビール造りは皆さんにも是非チェックして欲しい。
Junki Tada
ONE’s BREWERYについて
住所 | 〒550-0023 大阪府大阪市西区千代崎1-9-1 (醸造所) 〒542-0083 大阪市中央区東心斎橋2-5-29日宝周防町ビル1F(直営パブ) |
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公式サイト | https://onesbrewery.com/ |
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