「料理とシチュエーションに寄り添える楽しいビールを造りたい」
麦から造るクラフトビールって知ってる?
日本でビールを造る手法は大きく分けて2つである。1つは醸造所を造り自分で醸造すること、もう1つは醸造免許を持っている方に委託して醸造することだ。
今日ここで紹介する”GO OUT”は後者の手法により誕生したクラフトビールである。どのようにして生まれたのかこだわりも含めて、GO OUT生みの親である小笠原さんに聞いていく。
今回の登場人物
BANSHAKU編集部戸川(以下、BANSHAKU戸川)
編集部随一の音楽通。趣味は音楽とお酒、AirPodsとは親友であり渋谷のタワレコに頻繁に出没する。
EBF Toyokoro 小笠原さん
31歳。北海道豊頃町にて家族で農業を営み、40ha(東京ドーム8.5個分)の畑で大麦や小麦、豆類、じゃがいも、てん菜(砂糖の原料)を生産している。
麦から造るビールGO OUTができるまで
まずは小笠原さんが造ったクラフトビール”GO OUT”ができるまでのお話をお聞かせください。
はい。少し長くなってしまうのですが、クラフトビールとの出会いは大学生の頃スウェーデンに半年間ほど留学をしたことがきっかけです。それまでの大学生活ではラガー以外のスタイルのビールを知らなかったので、スウェーデンの酒屋に行ったときに幅広い種類のビールがあることに驚きました。いろんなビールを飲んで面白さを知り、帰国してから日本のクラフトビールも飲むようになりました。
だんだんと自分でもビールを造ることができたら楽しいだろうなと考えるようになりましたが、醸造所を設立して醸造をするには場所やスキル、時間、お金がかかると思い、別の角度からビール造りができないか模索したのです。
続きが気になります。
私の実家は北海道で農業をしておりまして小麦を育てていました。ビールの原料となる麦は二条大麦が主に使われており、小麦を育てることができるこの土地であれば二条大麦の栽培も可能ではないかと思いました。将来的に農業もやりたいという思いもあったので、大学卒業後は東京でサラリーマンをしていましたが、今から3年ほど前に地元に戻り、両親の仕事を手伝いながら大麦栽培を始めました。
その後、大麦の栽培と並行して醸造してもらえる醸造所を探し、私が大麦を育てている十勝地方の帯広市にあるビール会社さんでビール造りが開始されました。
GO OUTを造ったのは違う醸造所ですか。
はい。帯広での醸造はボトルビールでの取り扱いがなく、ボトルビールを製造できる所を探していたところ、たまたま札幌市にある澄川麦酒醸造の畠山さんという方と出会い、ボトルビールを製造していただくことになりました。こうして出来上がったのがGO OUTです。
GO OUTの特徴とは
GO OUT誕生までのストーリーをありがとうございました。GO OUTはどのような特徴があるクラフトビールなのでしょうか。
『麦本来の味わいを直接的に感じられるビールにしたい』と畠山さんにお伝えし、試行錯誤しながら醸造を行い生の大麦を50%ほど、麦芽を50%弱使用しています。ほぼ100%麦から造ったクラフトビールですね。非常にリッチな味わいに仕上がっております。
麦本来の甘味を味わっていただけるので様々な料理との相性がいいです。お肉料理やカレーなど幅広く合わせることができ飲み飽きしないのも特徴ですね。スタイルはイングリッシュペールエールというホップのパンチが強すぎない商品になります。
GO OUTの商品名の由来は今年新型コロナウイルスの影響でみなさん外出することができずSTAY HOMEだった方が多くいらっしゃるかと思います。その逆説的な意味でGO OUTという商品名をつけました。
最後にメッセージがありましたらお聞かせください。
ビール造りも始めたばかりですが、徐々に私のビールを広めていけたらいいなと思います。また、GO OUTに限らず様々な北海道のブルワリーの方にも当農場産の大麦や麦芽を使ってもらい、私の農場で収穫した麦の味がふんだんに感じられるような、他の種類のビール造りにもチャレンジしていきたいと考えております。
Director’s Voice
GO OUTは5月に初めての仕込みをおこない、2回目の仕込みのときには小笠原さんご自身で仕込み作業の手伝いをされたそう。小笠原さんには専用の醸造所はないが、ビール造りを行うという点に関して、現在国内でも少しずつ増えているファントムブルワリーに近い接点なのではないだろうか。STAY HOMEと対局にあるGO OUTはコロナ時代だからこそ要注目である。
Junki Tada
GO OUTについて
- 公式サイトにて近日取り扱い予定
- 樽ビールはビアパブひららと、ビアバーひららにて不定期で提供されている
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