富士桜高原麦酒 / 山梨県

造るビールはワールドクラス!コンテスト多数入賞のブルワリーとは?

造るビールはワールドクラス!コンテスト多数入賞のブルワリーとは?

クラフトビールマニアの中でもビールの肴として盛んに行われるのはスタイル談義です。特に「〇〇のスタイルで最も美味しいのはどのビールか?」という話はあなたも1度は聞いたことがあるのではないでしょうか。

この話題は尽きることがなく永遠のテーマとも言えます。その中で筆者がよく耳にするブルワリー、ビールが本日紹介する”富士桜高原麦酒”さんです。

醸造責任者である宮下さんに造られているビールの特徴などお話を伺いました。

今回の登場人物

BANSHAKU編集部戸川(以下、BANSHAKU戸川)
編集部随一の音楽通。趣味は音楽とお酒、AirPodsとは親友であり渋谷のタワレコに頻繁に出没する。

富士桜高原麦酒 醸造責任者 宮下さん
ビールファンからは「てんつうさん」の相性で親しまれ、趣味はゴルフと料理。富士桜高原麦酒はもちろん、様々なビールと料理のマリアージュを楽しんでいます!

  1. 1997年誕生、”富士桜高原麦酒”とは
  2. 富士桜高原麦酒が造るクラフトビールの特徴

1997年誕生、”富士桜高原麦酒”とは

本日はよろしくお願いします。まずは富士桜高原麦酒さんのことを少し教えてください。

弊社が起業したのは約61年ほど前でして、富士山の麓に水脈を掘るところから始まっています。醸造所は23年ほど前にドライブイン(国民宿舎)をやっていた頃に「富士山からのおくりものである、この綺麗な水を使って何かできないか」という話からリニューアルを兼ねて地ビールレストラン事業として始まったのがきっかけになります。

富士山の水は溶岩でろ過されていてミネラルが豊富な軟水であり、ビール酵母が発酵するのに適度なミネラルが含まれています。それこそが弊社のクラフトビールの最大の特徴ですね。

▶︎取材に対応していただいた、富士桜高原麦酒 醸造責任者 宮下さん

宮下さんはどのようにしてビール醸造と関わりを持つようになったのですか。

地ビール事業を立ち上げる23年ほど前に本社から突然電話がありまして、「ビールは好きか?」と聞かれました。「好き」と回答したところ、「それではドイツでビール造りの研修に行ってきてくれ」と言われたのです。1度お断りしたものの、「通訳の人を付けるからドイツで学んできてほしい」と押され了承しました。その頃の私は、自分で何かやってみたい気持ちはあったのですが動き出せずにいたので、ちょうど良いタイミングでチャレンジしてみたいと思ったのです。

それまでとは全く畑違いの職業ではありましたが、ドイツに研修に行く前に当時広島県にあったブルワリーで約2ヶ月研修させてもらい、それからドイツに6週間の研修に行ってきました。また帰国してからも岩手県にあるブルワリーで研修を受けて醸造のイロハを学んだという経緯になりますね。

▶︎仕込み釜の様子

ドイツでの研修はいかがでしたか。

醸造についても非常に勉強になりましたが、ドイツビールを飲んでいるドイツの方たちが嬉しそうに飲んでいたり、地元のビールをこよなく愛する姿に1番感化されて心に響きました。

また、ドイツのミュンヘン空港に降り立った際に飲んだヴァイツェンが大変美味しかったのを覚えています。身震いするほどの衝撃で、造り手の想いみたいなものが伝わってくるようなビールでした。私もそのようなビールが造りたいと思い、ドイツスタイルの素晴らしさを日本でも広めていきたい想いが強くなりました。

富士桜高原麦酒が造るクラフトビールの特徴

続いて、ビールについて教えてください。

現在は造り手が4人いて、私はレシピを考えてスタッフ一同でビール造りをしています。定番商品が4種類、限定商品は月に2種類ほど醸造しています。年間では合計30種類ほどのクラフトビール のご提供をしていますね。

日々、ビールを醸造する中で今年のワールド・ビア・アワード(世界的なビールのコンテスト)ではありがたいことにワールドベストスタイルを4銘柄が受賞しました。

しかし、大前提として賞をいただくためにビールを造っているわけではなく、年間を通して高いクオリティでビールを造り続けることのご褒美が賞をいただくことだと思っています。1番重要なことはお客様の笑顔だと思っています。お客様の笑顔が商品開発の最大の原動力になっていますね。

▶︎ワールドベストスタイルを受賞した4銘柄

すばらしいです。宮下さんおすすめのビールを教えてください。

1つ目は”ヴァイツェン”になります。私がドイツに行ったときの話と重なりますが、本場で飲んだときの衝撃が忘れられず、思い入れが強いスタイルになります。全力でヴァイツェンを造っていますね。

特徴は小麦を50%以上使ってホップを抑えたフルーティーなビールです。美味しいビールの定義は「大きなサイズで飲めるビールが本物」だと思っていますので。個性を出してもバランスを大事にして造っているビールですね。

▶︎ヴァイツェン

2つ目は”ラオホ”になります。弊社のレストラン「シルバンズ」をオープンする際のコンセプトでクラフトビールは3種類と決めており、世界で1番飲まれているピルスナー、ミュンヘンを代表するヴァイツェン、そして最後に木を感じられるビールとしてラオホが選ばれた経緯があります。

モルトを乾燥する際に、ブナのチップでモルトを燻しているのでモルト自体がスモークの香りがします。ホップの苦味や香りがあるとスモークを邪魔してしまうので、ホップの苦味や香りを抑えています。ビールグラスを近づけたときにスモークの香りがして、口に入れたときにも香りが抜けていくようなビールになっています

▶︎ラオホ

3つ目は最新作である”勝利”という、ヴァイツェンとIPAが融合したスタイルで”ニューイングランドヴァイツェン”になります。勝利という商品名は、「このコロナ時代にみんなでコロナに勝つぞ」という意味を込めています。

ベースはヴァイツェンになっていますのでファーストインパクトはフルーティーな香りがするのですが、ホップが持つトロピカルや柑橘系の香りが口に含んだ際に広がる感じがします。ホップの苦味は少ないので飲みやすさのあるビールになっていますね。

▶︎勝利

ビールに合わせた食事のおすすめはありますか。

ヴァイツェンに関しては白ビールになりますので、ホワイトソース系の料理やピザとの相性が抜群になります。ラオホは醤油系の料理と相性が抜群になりますね。また、ベーコンなどスモークされた料理も合うと思います。勝利はスパイスが効いたカレーや餃子など、香りの強い料理と合わせていただくとビールのキレと合うと思いますね。

最後に読者にメッセージをお願いします。

私たちは丹精込めてビールを造っています。コロナの時代ではありますがこのビールでみなさんが元気になったり、笑顔になってもらえるように願ってます。

▶︎レストラン“シンバルズ”

Director’s Voice

冒頭のお話の続きとして、ヴァイツェンスタイルで富士桜高原麦酒さんの名前を聞くことが非常に多い。多くのクラフトビールマニアから愛される商品を手にとってみてはいかがでしょうか。

Junki Tada

富士桜高原麦酒について

会社名富士観光開発株式会社
住所〒401-0301
山梨県南都留郡富士河口湖町船津字剣丸尾6663-1シルバンズ内
TEL0555-83-2236
公式サイトhttps://www.fujizakura-beer.jp/
職人インタビュー 2020.12.02
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