ビール名に熊がついているクラフトビール⁉︎
国内有数!ゼロ・ウェイスト活動に取り組むクラフトビールとは。
徳島県・上勝町。ここにはゼロ・ウェイストなクラフトビールに挑む、RISE & WIN Brewing Co.があります。国内でも珍しい、この取り組みを始めるきっかけとなったことやおすすめのビールなど、本日は池添さんにお話を聞いてきました。
今回の登場人物
BANSHAKU編集部戸川(以下、BANSHAKU戸川)
編集部随一の音楽通。趣味は音楽とお酒、AirPodsとは親友であり渋谷のタワレコに頻繁に出没する。
株式会社スペック クラフトビール事業部 RISE & WIN Brewing セールスマネージャー、PR担当 池添さん(以下、池添さん)
徳島生まれの三重育ち。運営会社の(株)スペックにて衛生コンサル業務を担当。ビール事業部立ち上げに伴い、営業と広報の責任者に。2年前に妻と子供二人で上勝町に移住。バーガーとサウナを愛する37歳。
食品の検査会社がクラフトビール事業に踏み込んだワケ
まずは会社紹介をお願いします。
株式会社スペックは創業50年の会社になりまして、クラフトビール事業部のRISE & WIN Brewingは今年で6周年になります。私はビール事業部立ち上げからRISE & WIN Brewingに配属されています。
クラフトビール事業を始めたきっかけを教えてください。
株式会社スペックは徳島市内にある検査会社で、食品や水、土壌や農薬、臨床系の検査をおこなっています。検査業界が衰退している中、12〜13年ほど前に「地域に寄り添った活動をしよう」という考えのもと、検査技術を活用し、地元生産者さんの商品開発のサポートや、ビーチクリーンといったボランティア活動など積極的にやっていました。
そんな中、当時人口2000人ほどだった上勝町の町長さんから「なにか面白い企業と地域おこしをしたい。一緒にやってくれませんか」と、声をかけていただきました。
なにかできないかと模索している中、「弊社の代表が、上勝町が取り組んでいるゼロ・ウェイスト活動(ゴミを出さない社会を目指す活動のこと)こそが地域活性の起爆剤になるのではと考え、国内外の人たちを上勝に呼び寄せるきっかけになるのではないか」と考えました。
また、ちょうどその頃アメリカのオレゴン州ポートランドを視察していて、現地の方がビールサーバーからグラウラーにビールを注いで持ち帰る文化を目の当たりにして「これはゼロ・ウェイスト活動に繋がる」と感じたのです。
自分が必要な分だけビールを量り買うことで、パッケージやゴミの問題も発生せず、上勝町にも合うのではないかなと思い、ビール事業をやるきっかけとなりました。
池添さんオススメのビールとは
ビール造りはどのようにして学ばれたのですか。
ビール造りができる人を探して、弊社代表の繋がりからニューヨークのブルワリーに勤めた経験があるライアン・ジョーンズ氏を紹介していただきました。彼は大学でも醸造学を学んでいて、ブリューイングディレクターとして弊社に協力してくれています。ライアン氏以外にも愛媛県の梅錦ビールさんや茨城県の常陸野ネストビールさんなどからもアドバイスやサポートをしていただきました。
現在のビールになるまで試行錯誤を繰り返し、満足いくまでには5年ほどかかりました。ビールを造る上でストーリーやコンセプトも必要ですが、美味しいビールでなくては元も子もないと思います。お客様から「当時と比べて最近は美味しくなった」とおっしゃっていただいて、自信をもってビールの提供ができるようになったと思います。
池添さんおすすめのビールを教えていただけますか。
まずおすすめしたいのは、私たちのフラッグシップビールにもなっている「MORNING SUMMER」です。ビアスタイルはニューイングランドIPAでして、私たち上勝町の特産品である「柚香(ゆこう)」というフルーツの果汁を使っているビールになります。
柚香は上勝町をはじめ徳島県が全国生産量の99%を占めるフルーツで、柚子と橙(だいだい)という2種類のフルーツが自然勾配でできています。私たちは町の特産品である柚香の果汁をふんだんにビールに使い、後味スッキリでフルーティーに仕上げました。造り始めたときから大人気の商品になりますね。
次に紹介したいのは「MORNING SAUNNER」というビールです。MORNING SUMMERと商品名が似ていますが全く関係なく、サウナが大好きな「サウナ―」の方に向けて造ったビールです。
RISE&WINメンバーもサウナが大好きで、「サウナあがりに飲むビールがいいのではないか」ということで、徳島の海から自分たちで海水を汲んで海塩を精製し、愛媛産のレモンを使った塩レモンラガーを醸造しました。スッキリ感を重視していますが、塩のミネラル感がサウナ後の身体の疲れを癒してくれます。食事にも合わせやすいビールですね。
おすすめのフードペアリングはございますか。
MORNING SUMMERに合うのはグリルチキンやポークリブなどの脂っこいものです。ニューイングランドIPAの味わいにガツンとしたお肉の感じが合うのではないでしょうか。
MORNING SAUNNERはスッキリしているビールなので、唐揚げやポテトが合いますね。唐揚げやポテトにはレモンを搾りますがその感覚で合いますね。
最後にメッセージをお願いします。
クラフトビールは自由でカジュアルなところも魅力の一つだと思うので、廃棄対象になってしまう原料をビールに使うなどしていますが、あまり難しく考えずソーシャルグットな気づきをご提供できたらと思っています。うちのビールを飲んでいただき、上勝町に気軽に来て楽しんでもらえたらなと思います。
Director’s Voice
Director’s Voice
昨今、「サスティナブル」や「SDGs」という単語がニュースなどでも浸透し、以前と比べて生産者や消費者の行動・考え方に変化があるとも言われています。ゼロ・ウェイスト活動に関しても文脈としては近く、これに関して何年も前から着眼点を置いていたことに驚きました。気になる方はぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。
Junki Tada
RISE & WIN Brewing Co.について
住所 | 徳島県勝浦郡上勝町大字正木字平間237-2 |
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連絡先 | 0885-45-0688 |
公式サイト | https://www.kamikatz.jp/ |
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