クラフトビールをもっとおもしろく!
「ビールを料理と一緒に会話を楽しむための潤滑油として使って欲しい」
みなさんは和歌山城から100メートルほど離れたところに、料理とビールのペアリングにこだわる、和歌山ブルワリーがあるのをご存じでしょうか。造られたビールは国内にとどまらず、海外からも高い評価を受け有名シェフも絶賛。ここでは、和歌山ブルワリー代表の吉田さんにブルーパブの成り立ちからビールまでお話を聞いていきます。
BANSHAKU編集部戸川 (以下、BANSHAKU戸川)
編集部随一の音楽通。趣味は音楽とお酒、AirPodsとは親友であり渋谷のタワレコに頻繁に出没する。
和歌山ブルワリー 代表 吉田さん(以下、吉田さん)
お酒の販売を通じて、「皆様を元気にする!」をモットーに年中無休で営業しております。
「お酒の目利き」ができるように醸造の世界へ。
今日はよろしくお願いします。まずは自己紹介をいただけますか?
私は酒屋の3代目でございまして、もともとは祖父が酒販店を創業して、私が跡を継いだという流れになります。現在は酒販店とともにブルワリーを併設したブルーパブを経営しています。
なぜクラフトビールに着目されたのですか?
私は以前から埼玉の日本酒の蔵で日本酒の勉強や、九州の焼酎の蔵で焼酎の勉強、フランスでもワインの勉強をしていました。そして当時はビールだけは大手メーカーしか造れないものだという認識でした。しかしその後、酒税法の規制が緩和されたことにより小規模でもビールが造れるように変わりました。
とあるときお客様から「和歌山市内にクラフトビールの醸造所はないのですか」と聞かれて、それがきっかけで和歌山市内に醸造所がないのであればつくろうと思いスタートしました。
そうだったのですね。吉田さんは初めからお祖父さんの会社を継ぐつもりでいろいろなお酒の勉強をしていらっしゃったのですか?
初めは会社を継ぐ気持ちはありませんでした。学校の体育の先生になりたくてスポーツばかりやっていたのです。しかし、私が高校生のときに父が病を患いまして、20歳の頃、他界してしまいました。母も一人になってしまい、私は大学にも行かず、会社を継ぐことにしました。
お酒の勉強を始めようと思ったのは、量販店さんとの差別化でお酒の目利きができる専門店になるためです。ちょうどその頃は量販店が増えてきて、価格勝負に巻き込まれないように、目利きができる専門店になろうと考えたのです。自分が目利きできないといけないので、そのためにはお酒を造れるような状態になる必要があると考えてお酒造りの勉強を始めました。
クラフトビールの醸造はどのようにして学ばれたのですか?
クラフトビールは東京にある羽田ブルワリーさんの醸造所や、広島の酒類総合研究所の講義に参加して学びましたね。
料理とのペアリングを考えたビール造り。
醸造を始めたのはいつ頃からになりますか?
2016年に醸造免許を取得して醸造をスタートさせました。当時の設備は150リットルの醸造タンク2機でして、ブルーパブとして自分のレストランでのみ造ったビールを提供していました。初めはひたすらペールエールばかり造って、毎回同じような品質で造れるように技術を高めて、それができるようになってから他にも出来ることを増やしていったという感じです。
現在はどのくらいの量を造られていますか?
現在は週3回醸造をしています。設備タンクは150リットルが4機、300リットルが1機、600リットルが4機あります。
ビールを造る上で大切にしていることはありますか。
「料理とのペアリング」ということを非常に大切にしています。例えば、IPAであれば、副原料に山椒を使ったものや桜を使ったものを造っていて、ビールが主張しすぎないように気をつけています。
オススメのビールを教えてください。
個性が面白いビールであれば、山椒や柚子を使用したビールはオススメですね。
弊社の造っているビールの副原料は全て和歌山産のものを使っているのですが、山椒の生産量は和歌山が日本一なのです。山椒を使ったビールは辛味がそこまであるわけではなく、爽やかな香りが鼻の奥に抜けていくような仕上がりになっています。焼き鳥の照り焼きと合わせるのが鉄板ですよ。
柚子のビールは「日本食に合うビールって何だろう?」というテーマのもと、これまでに試行錯誤を繰り返してきました。海外の有名ホテルのヘッドシェフと一緒に、料理を邪魔しないでマリアージュにより相乗効果を出せるようなビールになるように開発してきたのです。鼻から抜ける柚子の香りや独特の爽やかさが感じられ、食中酒としても十分楽しんでいただけると思います。例えば、からあげなどに非常に合うのではないかと思います。からあげにレモンをかけてから飲んでもらうと、口の中が一気にさっぱりしてオススメですね。
また、ヴァイツェンは海外での評価が非常に良いですね。海外の有名なシェフからもお墨付きをいただいていて、食事と合わせるのであれば淡白なお刺身や焼き魚など和食と合うと思いますよ。
吉田さんが求める人物像。
海外でも展開されているのですね。どちらの国で販売されていらっしゃるのですか?
マカオや香港、オーストラリアですね。コロナの影響もあり、まだ本格稼働とはいかないですが。
今後、海外への挑戦は注力されていくのですか?
まずは台湾や香港、マカオなどで様子見をしたいです。その経験を経てから、さらにアメリカや中国などとも取り組みができるといいですね。
最近は業務拡大で求人募集をされていると聞きました。
そうなのです。現在は醸造作業に関しては社員3名、アルバイト2名という体制をとっていますが、新たに第2工場をオープンさせる予定なのです。楽しいことを一緒にやれるような人と一緒に働きたいですね。弊社は小さいブルワリーなので個別の業務担当というわけではなく掃除、事務、配達、出荷などいろんなことをしなくてはならないです。
それも含めてチームとして楽しんでいただける方に是非来ていただきたいですね。また、英語を使った仕事をしたいという方も、海外への輸出をしているので能力を発揮できるチャンスだと思います。経験者の方はもちろん歓迎ですし、未経験の方にもぜひご応募いただきたいですね。
ブルワー自身のレシピを商品に生かすなど、アイディアを汲んでいただくことはできるのでしょうか?
もちろん可能です。グイグイと提案していただくのはとても嬉しいですね。やりたいことをアピールしていただいて、それを具現化して自分の成長に繋げてもらいたいです。
最後に、読者へのメッセージはありますか。
弊社のビールは料理とのペアリングを考えて造っています。奥様や彼女さんの料理、外食などでもそうなのですが、ビールを料理と一緒に会話を楽しむための潤滑油として使っていただきたいです。アルコールの時間を楽しんで過ごしてもらえたらなと思います。
Director’s Voiv
Director’s Voice
和歌山ブルワリーのボトルビールのラベルには、和歌山弁がたくさん散りばめられているのも特徴の一つです。味わいだけではなく見た目でも会話のネタになり、食事の時間が楽しくなるのは間違いないです。
Junki Tada
和歌山ブルワリーについて
ブルワリー名 | 和歌山ブルワリー |
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住所 | 〒640-8159 和歌山県和歌山市十一番丁54 |
公式サイト | http://wakayama-brewery.com/ |
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