地域おこし協力隊から生まれたクラフトビール?
レストランチェーン”びっくりドンキー”でも提供されているドイツビール!?
「時代を越えて受け継がれるドイツビールを日本へ」の哲学のもと、水、麦芽、ホップ、酵母のみでビールを醸造する「ビール純粋令」を守りドイツ文化のビールを醸造販売する小樽ビール。小樽のクラシックな街並みの中、伝統ある製法で造られるビールは根強いファンを呼んでいます。本日は小樽ビール店長 藤峯さんにブランド誕生の背景や小樽ビールで造られる商品の楽しみ方など伺ってきました。
ドイツ文化をインスパイアした小樽ビール誕生の経緯
−まずは小樽ビール事業を起こした経緯を教えてください。
弊社は株式会社アレフといいまして、レストラン『びっくりドンキー』を運営している会社です。会社の一部門として1995年に『小樽ビール』という自社ビールブランドを立ち上げました。
小樽ビールを立ち上げることになったきっかけは、創業者の庄司が当時ドイツに行ってドイツと日本の食文化の違いに衝撃を受けたことです。
ドイツではいろんな種類があるビールの中から自分が好きなビールを選べるのに対し、日本ではピルスナーが流通の大半を占めており、「ビール=苦い」というイメージが先行している感じたと伺っております。日本でもドイツのようにいろんな種類のビールの中から好みのビールを選べる豊かさを提供したいと考えてビール造りを始めました。
日本でビールを造り始めた当初、本場ドイツのブラウマイスター ヨハネス・ブラウン氏を招いてビール造りを指導していただきました。
彼自身、元々家業がビール醸造でして、250年以上ビール醸造を一族で行ってきました。大学ではドイツの大学のビール醸造学科を首席で卒業しており、ドイツのビール醸造家の国家資格勝つ最高位であるブラウンエンジニアという製造資格を保持しております。
ブラウンエンジニアとは世界でも1500人から2000人ほどしかいないといわれている資格ですね。彼がいたからこそ小樽ビールが誕生したと思っています。
ドイツビール純粋令を守るこだわりのビールとは
−小樽ビールのコンセプトを教えてください。
『ドイツビール純粋令』という考え方を守って造っています。ドイツビール純粋令とは『水、麦芽、ホップ、酵母』の4つ以外は全く使用しないという考え方です。製造方法に関してもドイツの伝統的な製法を守るため『ダブルデコクション』という製法で造っています。
びっくりドンキーで提供しているビールも小樽ビールで造られたオーガニックビールになりますが、こちらのビールも同様にドイツビール純粋令に則ってビールを造っています。
−小樽ビールではどのくらいのビールの量を造っているのでしょうか。
小樽の工場だけで週に2回、1回あたり3000リットル醸造しています。他にも銭函というところにも工場がありそこで醸造しております。
−最近ではブルワリーさんの中でオンライン販売を行われているところもあるかと思いますが、小樽ビールさんでは行わないのですか。
弊社ではオンライン販売はしていないです。
なぜかというと、弊社のビールは酵母が生きたビールになっているので、賞味期限が普通のビールに比べて短く、醸造から4週間程度となっているためです。
また、酵母は温度変化や振動や衝撃にも弱く、遠くまで配送してしまうとビールの品質に影響が出て味に雑味が発生してしまいます。そのためあくまでも弊社では、小樽から半径100キロ圏内に限定して販売を行っているのです。
ドイツでも「ビールに旅をさせるな」という格言があり、「ビールを造る醸造所の煙突が見える範囲でビールを飲むのが一番美味しい」と言われるぐらいです。ビールを造っているところで飲んでもらうのが一番じゃないかと考えていますので、ぜひお店にきてうちのビールを楽しんでもらいたいです。
オススメビールそれぞれの楽しみ方
−こだわりをお聞かせいただきありがとうございます。それでは小樽ビールのオススメ商品を教えてください。
定番商品が3種類ありまして『ピルスナー』『ドゥンケル』『ヴァイス』を常時醸造しています。
また、定番商品とは別に、年に7回季節限定のビールを製造販売しています。最近だと4月に『ヘレス』というスタイルのビールを販売する予定です。7月には『シュヴァルツ』という黒ビール。12月には『ドンケル・ボック』というアルコール度数が高いスタイルのビールを販売する予定です。
ホームページでも季節限定のビールの告知をしていますので是非ご覧ください。
ドイツビールは沢山の種類のスタイルがあり、香りや味わいがそれぞれ異なるので、ビール以外のカクテルが好きな方にも小樽ビールをきっかけにドイツビールの文化を知って欲しいと思っております。
−小樽ビールではビールを提供する際にビールによってグラスを変えているとお聞きしたのですが、理由を教えてください。
ビールによって一番美味しい状態を感じて欲しいのでグラスを変えています。ピルスナーは味わいがすっきりしていて香りも楽しめるのでグラスの形状をチューリップ型かつ薄めのグラスが主流となっています。
ドゥンケルは口の広いグラス形状でゆっくりと飲んでもらえるように設計しております。
ヴァイスは炭酸が強いビールなので、ビールを真っ直ぐ注いでしまうとその勢いで泡が大量にでて炭酸が抜けてしまいます。そのため、あえてカーブをつけて注いで勢いを弱められるように設計されています。
前述の3種類のビールよりもさらにアルコール度数が高いビールですと温度変化しづらい、陶器のグラスでビールを提供したりします。季節限定ビールも同様にグラスをすべて変えていますね。
−それぞれのビールと食事とのオススメペアリングを教えてください。
ピルスナーは一般的なビールの苦みと香りを楽しむタイプのビールなので大体の料理に合うと思います。その中でもソーセージやじゃがいも料理など、ドイツの食文化で一緒に食べられているものが最適だと思います。北海道らしくじゃがバターも良いのではないでしょうか。
ドゥンケルは味がしっかりしたビールで苦味が少なく、少し甘みがあってコクもあるビールのタイプなので、肉を使った少しクセがあるような料理の方が相性が良いと思います。
ヴァイスは非常にフルーティな香りを楽しむビールです。炭酸も強くてさっぱりしているので、ヴァイスヴルストというソーセージやカルパッチョなどが合うと思います。
ドイツ文化を重んじた店づくり
−最後にどのような方に小樽ビールに足を運んで欲しいですか。
ドイツでは醸造所を併設した飲食店の業態であるマイクロブルワリーが大変盛んでして、小樽ビールでもドイツ文化をイメージしてもらうために店内の中央にタンクを置いて実際にビールを造っています。
ビールを造っているところでビールを飲むことは、日本にいながらドイツの雰囲気も味わってほしいという想いが込められています。
観光でお立ち寄りいただいても建物自体、現在から100年ほど前につくられた倉庫を改装しており、小樽の歴史や異国情緒を感じていただけると思います。無料の醸造所見学もやっていますので「どういう風にビールを造っているのかな」と気軽に来ていただければありがたいなと思います。
Director’s Voice
小樽ビールではドイツの風習に合わせて毎年数回ビールのイベントを実施していて、9月に開催されるオクトーバーフェストは規模も大きく、本場ドイツで開かれるオクターバーフェストは世界一と言われているそう。藤峯さん曰く「日本にいながらドイツの雰囲気を味わえるイベント」と自信を持っていらっしゃいました。小樽を尋ねられた際には一度小樽ビールに立ち寄ってみるのもいかがでしょうか。
Junki Tada
小樽ビールについて
ブルワリー名 | 小樽ビール |
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住所 | 〒047-0007 北海道小樽市港町5−4 小樽運河倉庫群 |
TEL | 0134-21-2323 |
営業時間 | 11:00〜23:00 |
WEBサイト | https://otarubeer.com/jp/ |
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