【東京以外の関東】地域別おすすめ、クラフトビール職人インタビューまとめ(随時更新)
「上富良野産100%の原料を使ったビールを造りたい」忽布古丹醸造誕生の軌跡。
北海道・上富良野。
ここは以前より大手ビールメーカー専属のホップ農家があり、最盛期には100軒を超えていた日本有数のホップ産地です。本記事では上富良野産100%の原料でビール造りを目指す忽布古丹醸造 堤野さんに醸造所の立ち上げからおすすめの商品までお話を伺っていきます。
今回の登場人物
BANSHAKU編集部多田 (以下、BANSHAKU多田)
好きなお酒はビール(セゾンスタイル)。東京・原宿にあるthreefeet Tokyoというクラフトビールショップのオーナーも兼業している。最近はカズチーというおつまみにハマっている。
忽布古丹醸造 代表 堤野さん
2015年に創業から14年ヘッドブルワーをつとめたノースアイランドビールを退職し、2017年に上富良野町に忽布古丹醸造を設立。
地ビール醸造にいただいた違和感
まずは忽布古丹醸造さんの立ち上げまでの経緯についてお伺いしたいです。
忽布古丹醸造を立ち上げる前の話になるのですが、私は2002年にNORTH ISLAND BEERの立ち上げに参画してビール醸造をしてきました。その中で地ビールと言いつつも、ビールの原材料を輸入に頼っている現状に違和感を感じていました。
2009年にNORTH ISLAND BEERは札幌から江別に拡張移転し、江別特産のブランド小麦「ハルユタカ」を使ったヴァイツェンを中心に醸造することができましたが、私の場合、ホッピーなIPAなどが好きでしてホップも含め「ビールを造る土地の農産物を使えればいいな」という想いが頭の片隅にあったのです。
その後、2013年にもともと大手ビールメーカーのホップ契約栽培をしていた上富良野の農家さんとの出会いがありました。その方が契約栽培以外のホップ栽培もしていて「ホップを使ってみないか」と話があったのです。試しにNORTH ISLAND BEERで上富良野産ホップを使ったビールを造り、海外産のホップを使わずに上富良野産のホップを使えたことに喜びを感じました。
この出来事がきっかけとなり「IPAの主役原料であるホップ栽培をしてくれている方がいるのであれば、自分でももっと自由にビール造りの表現の幅を広げたい」と考え、忽布古丹醸造が誕生しました。
上富良野産100%ホップを使用したビールとは
ありがとうございます。ホップの話が出てきましたが、忽布古丹醸造さんで造るビールは全商品で上富良野産のホップを使っているのですか。
現在の商品ラインナップは主に2つシリーズがあり、ORIGINALSというシリーズは定番の3種類のビールに上富良野産ホップを100%使っています。もう1つのFREEDOMSは海外産のホップも自由に使った多種多様なビールを造っています。
2018年に醸造をスタートし、はじめはホップが若く収穫量が少なかったのですが、2年間で収穫量も増え、ホップのポテンシャルも高まりました。昨年の秋からは通年でORIGINALに使うホップの量を担保できるまでになっています。
最初の目標であった上富良野産ホップを100%使ったビール造りは達成することができましたが、忽布古丹で造る全てのビールに使える収穫量には達していません。また、現在はホップの品種がカスケードホップのみになるので、今後他の品種も増やしていきたいと考えています。
ビールの原料の1つである麦芽も上富良野産のものを使っていく予定があるのでしょうか。
はい。ビールを造る原料100%上富良野産のもので造ることが最終的な目標になります。現状、上富良野産の麦芽を使用することができていませんが、北海道の中標津産の麦芽を100%使用したビール造りをはじめたところです。今後どのようにして上富良野産原料100%にしていくかということを突き詰めていきたいです。
堤野さんおすすめの商品
堤野さんおすすめの商品と特徴を教えてください。
ORIGINALSをおすすめしたいです。商品名にはそれぞれアイヌ語を使いました。ワインのテロワールのように、年によってホップの出来がちがうので出来上がるビールも変化します。
例えば19年産ホップと20年産ホップではいい意味でビールが違います。これは地元産100%であるからこその楽しみ方だと思います。ホップの出来が違うためビールを造るレシピも若干変えています。その年のホップを最大限活かす醸造を目指していますね。
忽布古丹醸造さんならではの楽しみ方ですね。ビールに合わせてフードペアリングのおすすめはありますか。
upopo(ウポポ)は豚のさがりと相性がいいです。上富良野では養豚をおこなっていて、直営タップルームで提供している豚のさがりは七輪で焼いて塩胡椒で味を整えています。nonno(ノンノ)はサッパリとしたピクルスがいいですね。haskap(ハシカプ)はブルーチーズなどがいいのではないでしょうか。
haskapはハスカップを使っていらっしゃるのですね。
富良野産のハスカップを使っています。ハスカップは北海道や東北の一部の地域でしか栽培ができません。北海道のイメージにハスカップは合っているフルーツであり、ベリー系統の中でも酸味が強いフルーツなので使っています。
最後に今後の意気込みや読者へのメッセージがありましたら教えてください。
最終的にはビール造りの原料を全て地元産のものを使っていきたいですが、急ぎ過ぎることなく進めていきたいです。ORIGINALSとFREEDOMSどちらもバランスよく造りたいです。
また、ビールには多種多様な特徴があるので、チャレンジできていないスタイルのビールや地元産ホップと海外産ホップを比較したビールなど、お客さんがどう喜んでくれるか意識して直営店ではカラフルで多様なビールを楽しめるようにしていきたいです。
Director’s Voice
私の地元は北海道の滝川というところであり、父方のルーツは上富良野のため、幼少期にはよく上富良野に遊びに行っていた記憶があります。当時はホップのことはもちろんわからず過ごしていましたが、大人になってこのように上富良野でビールを造る忽布古丹醸造さんと関わりを持つことができたのは嬉しい偶然です。threefeet Tokyoでも商品取り揃えていますので東京で気になる方はぜひお立ち寄りください。札幌の方はTap Room BEER KOTANへ。
Junki Tada
忽布古丹醸造について
忽布古丹醸造 株式会社
住所 | 札幌市中央区南2条西3丁目13-2 パレードビル3F |
---|---|
TEL / FAX | 0167-45-0012 / 0167-45-0013 |
公式サイト | http://hopkotan.com/ |
Tap Room BEER KOTAN(直営店)
住所 | 札幌市中央区南2条西3丁目13-2 パレードビル3F |
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TEL | 011-221-2505 |
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