たくのむ開発責任者に聞く、オンライン飲み会サービス”たくのむ”とは? -実体験から着想を得た、たくのむ誕生の軌跡
「独立したタイミングでリーマンショックが起きてしまい、前から好きだったビールを仕事にしようと決意しました」
札幌の閑静な住宅地澄川。この土地にひっそりと佇むブルワリーがあることをご存知でしょうか。2018年4月の自社オリジナルビール初仕込みから、2年間で造ったビールのレシピは約240種類。ビールの本場ドイツで出会ったヴァイツェンに感銘を受け、造られるビールには澄川に住む地元の方から全国にも熱烈なファンがいらっしゃいます。本日はそんな”澄川麦酒醸造所 オーナー兼ブルワー齋藤さん”に起業の苦難からビールのことについてお話を伺ってきました。
起業とともにリーマンショックの渦中へ
−まずは事業を起こそうと思ったきっかけを教えてください!
少し長くなってしまうのですが、以前はIT業界で仕事をしていたのですが、管理よりも現場での仕事が好きで現場仕事を続けたいと考えており、仕事をいただけるお客さんがおりましたので思い切って独立しました。
ただ、独立したタイミングで世間ではリーマンショックが起きてしまい、当初独立時に予定していた仕事がもらえなくなってしまいました。どのように仕事を行なっていくか考えた末、「前から好きだったビールを仕事にしよう」と決意したのです。
ビールが好きになった背景には、会社員をしていた時の夏休みにドイツへ旅行に行った際の出来事がきっかけとなっています。その出来事というのはドイツのミュンヘンで飲んだヴァイツェンがそれまで自分が知っていたビールと比べて驚くほど美味しく、またビールの種類がたくさんあることに魅了されたという出来事でした。魅了されすぎてドイツには合計13回行きました。
−なるほど!IT業界で起業をしたタイミングとリーマンショックが重なってしまった苦難を乗り越えてビールに関わる仕事をすることを決意されたのですね。具体的にはどのような仕事をされていたのでしょうか。
自分の独立とほぼ同じタイミングで古くからの友人がドイツビールを輸入する会社を立ち上げました。彼は東京を拠点としていて、「札幌方面の営業を手伝ってくれないか?」という話になり、お酒の販売免許を取得してすすきの地区を中心に営業をする仕事を始めました。
ただ、卸売は利益幅が非常に少なく、とにかくたくさんの量を販売していかないと稼げないことに気が付いたのです。そのため、卸販売だけではなく、オンラインモールのAmazonでも販売を行っていきました。
販売当初はAmazonではお酒をあまり取り扱っていなかったこともあり、想定以上のビールを売ることができました。Amazon自体も弊社を応援してくれて、バナー広告が出るようにしてくれていたのですが、その後資金力のある他の企業も参入してきて1年ぐらいで発注が来なくなってしまうのです。このような経緯があり、メーカーから仕入れて飲食店に卸すのではなく、自分で飲食店を始めた方が良いのではないかと思い、2011年澄川でビアバーをオープンしました。
ビアバーの展開と自社醸造所立ち上げに伴う苦難
−輸入ビールの卸売からビアバーオープンへと移り変わっていったのですね。ビアバーはどのような業態でしたか。
オープン当初はカウンターだけの小さいビアバーで、様々な輸入ビールを仕入れて提供することによってビールの面白さをお客様に伝えたかったんです。2013年からは岩手県盛岡市にある、『ベアレン醸造所』とのお取引がきっかけで国内のクラフトビールの取り扱いも増えていきました。
クラフトビールの仕入れ先の醸造所に行ってどのようにビールが造られているかやどんな町で、どんな人が造っているのかを見て持ち帰って、お店でそのストーリーをお客さんに伝えながらビールの提供をしていました。
国内のクラフトビールの取り扱いが増えてきたタイミングで今度は国内のクラフトビールの人気が増してなかなか仕入れることが難しくなりました。それなら自分でクラフトビールを造ってしまおうと思ったのです。
しかしながら、ビールの醸造所をつくるには家一軒をたてるぐらいのお金がかかると言われていたためクラフトビールを自分で造りたいと思いながらも、資金面が理由で半分諦めておりました。
−半ば諦めていたところでどのようにして資金を工面したのですか。
その後、『松江ビアへるんで有名な島根ビール』さん主催のビアフェスがあり、そこで『石見麦酒』のビールが大変美味しくて、すぐ工場見学をさせていただきました。実際に工場に見学しに行くと、ビールは寸胴鍋で造っており、工場は150万円程でつくっていると聞き、「自分でもできる」と自信を持ちそのまま石見麦酒で修行させていただきました。
2018年の4月に念願の初仕込みを行って、現在も師匠と同じように寸胴でビールを造っています。
念願叶って醸造されたビールとは
−ブルワリー設立までの裏側をご紹介いただきありがとうございました。次にビールのことをお聞きしたいのですがどのようなビールを造っているのでしょうか。
基本的に私の好きなヨーロッパのビールを造っていますが、お客さんみんなに喜んでもらいたいので、リクエストを受けてみんなが好きなビールを造ることもあります。弊社のビール造りにおけるコンセプトが「同じビールを二度と造らない」とこともあり、約2年程で約240種類のビールを造ってきました。
今年からは瓶ビールでの販売も始めまして、これを機に定番ビールとして『ヴァイツェン』『アメリカンセゾン』『セッションIPA』の3種類を提供しています。
−3種類の定番ビールはどのようなビールですか。
弊社のヴァイツェンは本来ならアルコール度数が7%くらいまで造れるほどの大量の麦芽を使いながらも、アルコール度数を5%で造ることにより、甘みを強く残しています。一番思い入れのあるビールです。
アメリカンセゾンはヴァイツェンとは反対にすっきりとしてキレた味わいがあり、はっさくのような柑橘系の香りが特徴のビールです。アルコール度数は6.5%あり、食事にも合わせやすいです。アメリカのホップを2種類使っています。
セッションIPAはトロピカルフルーツ系のホップを使用していて、苦味の少ない香りの良いビールです。
定番ビールは3種類とも澄川麦酒醸造所の代表的なビールですが、甘味が強いのが特徴的なので味わいも香りも他ではないようなビールになります。
澄川麦酒醸造所流のビールの飲み方
−それぞれのビールに合わせて晩酌をする時にオススメな食事とのペアリングはありますか。
ヴァイツェンはドイツのヴァイスブルストという白ソーセージとの相性が抜群に良いです。アメリカンセゾンに関しては、すっきりとしたキレのある味わいなので和食など家庭料理全般にも合うと思います。セッションIPAに関してはホップの香りが強いので、サラダなどの料理に合うと思います。他にも期間限定で販売している『ラオホ』と呼ばれるビールには煮物や魚の煮付けなど醤油の料理と非常に相性がいいです。
ペアリングの考えもございますが、あくまでも弊社のビールはビール単体でも美味しく飲めるように造っておりますので、料理と無理に合わせなくても十分にビールだけでも楽しめると思います。
−最後にメッセージをお願いします。
現在の工場は10,000リットル以上のビールが造れないので近いうちに工場の移転を考えています。5月18日までクラウドファンディングを実施しておりますので、もし宜しければご協力いただけると嬉しいです。
Director’s Voice
澄川麦酒醸造所で製造されたビールはBeer Pub ひららだけではなく、東中野の『VINSY』というお酒のセレクトショップでも取り扱っているそう。VINSYでは店頭の他にオンラインショップでも購入することができ、全国どこでも澄川麦酒醸造所のビールを注文することが可能です。齋藤さんが造る、こだわりのクラフトビール。お家での晩酌の楽しみに是非いかがでしょうか。
Junki Tada
澄川麦酒醸造所 Beer Pub ひららについて
ブルワリー名 | 澄川麦酒醸造所 Beer Pub ひらら |
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住所 | 札幌市南区澄川4条3丁目4番6号 |
TEL | 011-807-4565 |
WEBサイト | http://www.sumikawa-beer.co.jp/ |
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